Cassiaで始めるIoT開発【第1回】-BLEビーコン活用とCassia E1000の紹介-

この連載「Cassiaで始めるIoT開発」では、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを活用したIoTシステムの構築方法を、複数回にわたって紹介していきます。
はじめに
IoT(Internet of Things)の世界では、センサーやデバイスがネットワークを通じて情報をやり取りすることで、さまざまな自動化や効率化が実現されています。
その中でも、BLEビーコンは、低消費電力で定期的に情報を発信する小型デバイスとして、位置情報の取得や環境モニタリングなどに広く活用されています。
- 工場内での温湿度管理
- 作業員の動線確認
- 医療現場での患者の位置トラッキング
- 小売店舗での来店者の行動分析
こうした活用を実現するには、多数のBLEビーコンを安定してスキャン・管理できるインフラが必要です。
実際に、北菱電興が提供する「現場環境見える化ソリューション」では、温度・湿度・CO₂などの環境センサーからのBLEビーコンデータを受信するために、Cassia E1000 BLEゲートウェイが使用されています。
そこで本シリーズでは、Cassia E1000を中心に、BLEビーコンを活用したIoTシステムの構築方法を紹介していきます。

Cassia E1000とは?
Cassia E1000は、BLEビーコンを効率よくスキャン・収集・管理するためのエンタープライズ向けBLEゲートウェイです。最大40台のBLEデバイスと同時に接続可能で、ブロードキャストモードでは数百台のビーコンを同時に受信することができます。通信距離は、見通しの良い環境で最大300メートルに達する高性能なアンテナ設計が特徴です。

ハードウェアスペック
以下に主なスペックを紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | ARM Cortex-A5 Quad Core(最大1.5GHz) |
メモリ | 256MB DDR3 |
ストレージ | 4GB eMMC |
BLEチップ | Nordic nRF52832 × 2 |
Bluetoothバージョン | Bluetooth 4.x LE / 5.0準拠 |
同時接続数 | 最大40台(ペアリング接続) |
スキャン性能 | ブロードキャストモードで数百台のビーコンを同時受信可能 |
通信距離 | 最大300m(見通しの良い環境) |
アンテナゲイン | 5dBi ピーク |
Wi-Fi | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz / 5GHz) |
Ethernet | RJ-45ポート(10/100 BASE-T、PoE対応) |
電源 | PoE(IEEE 802.3af/at)または Micro-USB(DC 5V / 2A) |
消費電力 | 通常時最大2.5W、USBドングル使用時最大5W |
サイズ | 約164mm × 164mm × 62mm |
重量 | 約410g |
動作温度 | 0℃〜40℃ |
湿度範囲 | 0%〜90%(非結露) |
おわりに
BLEビーコンは、IoTの現場で「見えない情報」を可視化するための有効なツールです。
次回は、Cassia E1000を使ってBLEビーコンをスキャンし、アドバタイズデータを取得・解析する方法を紹介します。実際のAPIリクエスト例や、SwitchBotなどのデバイスを使った実践的な内容をお届けします。