SCADAとは?
SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)は、監視制御およびデータ収集システムのことを指します。SCADAシステムは、産業プロセスの監視と制御を行うために使用され、以下のような特徴があります。
SCADAの主な機能
- データ収集:センサーや機器からリアルタイムでデータを収集し、中央の監視システムに送信します。
- 監視:収集したデータをもとに、プロセスの状態を監視し、異常が発生した場合にはアラームを発します。
- 制御:オペレーターが遠隔から機器やプロセスを制御することができます。
- データ分析:収集したデータを分析し、プロセスの最適化や予知保全に役立てます。
SCADAの利点
- コスト削減:予知保全や運用最適化により、コスト削減が実現します。
- 効率化:プロセスの自動化と監視により、効率的な運用が可能になります。
- 安全性:異常検知と迅速な対応により、安全性が向上します。
GENESIS64とは?
GENESIS64は、三菱電機の先進的なSCADAソフトウェアであり、さまざまな業界での監視と制御を効率化するために設計されています。
詳しくは三菱電機のHPを参照いただければと思いますが、
(リンク:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/software/visualisation/genesis64/index.html)
簡単にGENESIS64の主な特徴と利点をピックアップして紹介します。
注:本記事は2024年10月時点での情報(GENESIS64のバージョン10.97.3)を元に作成しています。
優れたビジュアル
- 多彩な表示方法:トレンドグラフ表示、ヒートマップ、ダッシュボード表示など、多彩な表示方法に対応しており、監視対象の状況を直感的に把握できます。
- 豊富な2D/3Dシンボルライブラリ:2D/3Dのシンボルがあらかじめ多数用意されており、監視対象の動的切替表示や俯瞰表示が可能です。
- CADデータの取り込み:CADデータを用いて、表示対象や用途に応じた画面を低コストで作成できます。
- モバイル対応:モバイル機器向けの監視画面も提供しており、スマートフォンやタブレットからの直感的な操作が可能です。これにより、現場のどこからでも監視と制御が行えます。
GraphWorX64:2Dシンボル/3Dシンボルがライブラリとして用意されています。もちろん自分で図形を組み合わせてシンボルを作成することも可能です。
TrendWorX64:トレンドグラフはもちろんのこと、ヒートマップなど豊富なグラフ表現が可能です。
WebHMI・MobileHMI:クライアントPCからはブラウザでアクセスできるほ他、専用アプリを入れることでスマートフォンやスマートウォッチでのアクセスも可能です。
オープンな接続性
- 各種プロトコル対応:OPC、MODBUS、BACnetなどの各種プロトコルに対応しており、さまざまなラインや設備、機器と接続した監視システムを構築できます。
- 上位系システムとの連携:MESやERPなどの上位系システムやWebサービスとのデータ連携が可能で、GENESIS64から監視・制御が行えます。
- データベース連携:外部DBとの連携が可能で、収集したデータを表やグラフで表示することができます。これにより、データの一元管理と活用が実現します。
高い拡張性と柔軟性
GENESIS64は、監視対象規模に応じてスケーリング可能なライセンス形態を提供し、複数クライアントや帳票自動出力機能など、ニーズの高い機能を1パッケージにまとめています。
これにより、必要に応じてシステムを拡張し、柔軟に対応することができます。
高可用性と冗長性
GENESIS64は、サーバーの二重化によるダウンタイムの短縮や複数サーバーによる処理分散の機能を備えています。
使ってみて
良い点
・作画の自由度が高い:作りこみ次第で多彩な表現が可能です。アニメーションなども作れます。
・三菱電機製品との親和性:GOTの作画取込機能やMELSECデバイス(PLC、GOT、など)を直接接続することができます。推奨OPC UAサーバー製品(たけびし製デバイスエクスプローラ)を使うことで他社PLCとの接続も可能です。
・サポートがしっかりしている:(後述)
・価格が安い:読取専用クライアントライセンスが50ライセンス付属(※1)しています。どのSCADA製品もクライアントライセンスが高額であることが多く、50ライセンスが標準バンドルされている点は非常にありがたいです。
※1:2024年10月現在
・機能がとにかく多い:SCADAとしての基本機能は抑えつつ、外部アプリケーションとの連携機能など様々な機能が用意されています。また、機能一つとっても設定項目・パラメータも非常に多いため細かいカスタマイズが可能です。
・クライアント側はブラウザだけでOK:クライアントPCに専用のアプリを入れる必要がなく、利用のハードルが大きく下がります。
もう少しな点
・できることが多い反面ハードルが高い:色々な機能や設定があるため、凝った作り込みができる反面、人によってはとっつきにくさを感じるかもしれません。
・タグのシミュレーション機能がほしい:個人的な意見ですが、PLCに接続するタグをシミュレーションする機能が標準で備わっているとデバッグがやりやすいかな、と思います。現状でも、GX WorksのGX Simulatorやたけびし製デバイスエクスプローラなどを使えばシミュレーションは可能です。
・ブラウザで一部機能が制限:現状、ブラウザアクセスでは、3D機能など一部機能はInternet ExplorerまたはMicrosoft EdgeのIEモードでのみ利用可能です。その他主要機能についてはGoogle Chromeなど他ブラウザでも利用可能なので問題になるパターンはほとんどありませんが、3D機能を積極的に使いたい場合は注意が必要です。
学習とサポート
学習
学習にあたり体験版が三菱電機HPからダウンロードできます。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/download/software/search.do?mode=software&kisyu=/scada
連続12時間使用可能で利用期限はありません。また64タグのタグ制限がありますが、お試しで触る分には十分かと思います。
基礎編のスクールテキストもダウンロードできます。
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/members/document/manual/school_text/sh082088/sh082088c.pdf
サポート窓口
SupportWorXという有償の保守プランがあります。
GENESIS64専任技術者による電話およびメール(必要に応じてWeb会議)での支援を受けられます。
専用窓口があるというのは導入する側にとって非常にありがたいです。
また、SupportWorXはライセンス新規購入時に1年分無料でついてきます。
おわりに
GENESIS64は現場または工場全体を見える化する強力なツールです。特に機能の豊富さ、カスタマイズの自由度、スケーラビリティが特徴的です。
次回記事より具体的な使い方、Tipsなどを投稿する予定です。
GENESIS64導入・検討にあたりご相談されたい方、あるいはすでに導入済みだけどさらに活用したい方、是非当社にお問い合わせください。お問い合わせはページ下部「お問い合わせ」よりご連絡ください。
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