工場内の人の移動を“電池いらず”で見える化!振動発電ビーコン「EB10-B」で活動量を自動計測する方法を検証してみた

現場改善では人がいつ・どのくらい動いたかを把握することも重要視されます。
Industrial Engineering(IE)では「動作研究」という手法もあるくらいです。
一般的な歩数計はクラウド連携ができず、手書きで集計せざるを得ないという課題があります。また、スマホの歩数アプリはクラウドで集計可能ですが、個人の端末に依存した集計になってしまい、業務として取り扱うには運用が難しいという課題があります。
本記事では、振動で自家発電しBLEで送信する振動発電ビーコン「EB10-B」を用い、移動の傾向を時系列で可視化する手法を検証します。
振動発電BLEビーコン「EB10-B」とは
「EB10-B」は、産電子工業株式会社が提供する、振動発電型BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンです。 内蔵電池を持たず、振動や衝撃から発電した微小なエネルギーでBLE信号を送信できるのが特徴です。
製品ページはこちらになります。
以下、https://www.sdk-k.co.jp/product/ecobeacon#beacon04 より引用のものあり


主な仕様(メーカー公表値)
| 製品名 | EB10-B |
|---|---|
| メーカー | 産電子工業株式会社 |
| 通信方式 | Bluetooth Low Energy(iBeaconフォーマット対応) |
| 通信頻度 | 約2〜3歩ごとに1回送信(動作中のみ送信) |
| 電源 | 自己発電(電池レス)。人の歩行程度の縦振動で発電する。 |
| サイズ | 約48×28×15 mm |
| 重量 | 約20 g |
| 動作温度範囲 | -10〜50℃ |
活用事例(メーカー公表)
- 仔牛の体調管理システム
ビーコンから送信されるデータの積算値が少ない仔牛を元気のない仔牛とし、不調の仔牛の早期発見・治療につなげる。 - 児童の登下校見守りシステム
ランドセルに付けたビーコンにより、登下校時に児童が校門を通るタイミングで親御さんにメールを通知。 - 作業員の健康管理や、位置情報管理
評価してみた
準備するもの
- 振動発電BLEビーコン:EB10-B
- BLEゲートウェイ:Cassia E1000
- Node-REDが動作する環境を構築しておく

まずは簡単にEB10-Bの動作を確認
ビーコンを付けそうな体の部位に、まずは万歩計をつけ、一定歩数(100歩)の歩行を複数回試行し、万歩計のカウント精度を確認すると、以下のような結果になりました。

検証してみると、同じ100歩の歩行でも装着場所によって最大15%以上、計測値に差が生じました。同様に、EB10-Bでも測定してみます。

メーカー仕様では、EB10-Bは連続歩行中に2〜3歩ごとに1回発信となっています。計測の平均値を2~3倍すると、おおよそ100に近づくことが確認できました。
EB10-BのデータをSORACOM HarvestとAzure IoT Centralに格納・蓄積してみる
EB10-Bから送信されてくるデータをCassiaで受け取り、Node-REDで解析・変形します。
Node-REDにて、EB10-Bから取得したデータを解析し、クラウドサービスの「SORACOM Harvest」と「Azure IoT Central」にそれぞれ送信するようなフローを組みます。

まずはEB10-Bから受信したデータを確認すると、以下のようなデータが得られました。(図:フロー内一番上の緑ブロック)
[{"chipId":0,
"name":"(unknown)",
"evtType":3,
"rssi":-41,
"adData":"data",
"bdaddrs":
[{"bdaddr":"mac-adress",
"bdaddrType":"random"
}]
}]次にオブジェクト変換等で解析した送信用のデータを確認すると、以下のようになります。(図:フロー内左下の緑ブロック)
[{"uuid":"your-uuid",
"major":57,
"minor":4896,
"bdAddress":"mac-adress",
"txPower":-67,
"interval":null,
"companyId":num,
"companyIdHex":"id",
"measuredPower":-67,
"rssi":-41,
"raw":{"chipId":0,
"name":"(unknown)",
"evtType":3,
"rssi":-41,
"adData":"data",
"bdaddrs":[{"bdaddr":"mac-adress",
"bdaddrType":"random"
}]
}
}]さらに少し加工を加え、最終的にSORACOM HarvestとAzure IoT Centralに送信するデータは、以下のようになります。(図:フロー内真ん中の緑ブロック)
{
"uuid":"your-uuid",
"major":57,
"minor":4896,
"bdAddress":"mac-adress",
"txPower":-67,
"interval":null,
"companyId":num,
"companyIdHex":"id",
"measuredPower":-67,
"rssi":-41
}この形式で送信されてくるデータをSORACOM HarvestとAzure IoT Centralで確認すると、それぞれ以下のようになりました。


評価してみて
EB10-Bは、歩行時の振動により発電・データ送信が行われ、停止時は何もしません。 この特性を活かすと、「通信あり=動いている時間」「通信なし=停止時間」として扱うことができます。
現場での活用提案
- ライン別・時間帯別の活動度を比較し工程別の移動時間ヒートマップを作成する。
- 改善前後の活動ピーク帯の変化を比較しレイアウト改善の効果測定を行う。
- Cassiaを各拠点に設置し、複数現場の横断モニタリングのデータを一元で集計。
その他電池レスのBLEビーコン
屋内照明を電源にして動作する照明光発電ビーコンもあります。低照度(50 lx 程度)でも使えるタイプもある(PB11/12)ため、常時照明がある環境なら電池交換なしで運用できます。
以下、https://www.sdk-k.co.jp/product/ecobeacon#beacon04 より引用のものあり

活用事例(メーカー公表)
- 病院内物品の所在管理・追跡システム
移動式の医療機器がどこにあるのか、最後に使われた場所を管理・追跡します。 - 工場内整整備機器などの位置情報管理
- 自動搬送機器の位置情報管理
- 工場内、地下街の案内サービス
おわりに
2〜3歩ごとに1回発信しデータを送信する EB10-B は、Cassia や Node-RED を使用することで、簡単に SORACOM Harvest や Azure IoT Central といったクラウドサービスにデータを蓄積することができます。
電池レスでメンテナンスの手間が削減された EB10-B を利用し、活動量を使ったIoTにご興味があれば、ぜひお声がけください。




